甲冑は、防御力と柔軟性を兼ね備えるように構成されています。防御力が必要な部分には金属、鉄、漆鋼など材料で作られており、柔軟性が求められる部分には絹、麻、綿、革などが使われます。綿や麻などはより早く劣化してしまいますが、柔軟な素材なので可動域が広がります。
甲冑が完成すると、防水のために滑らかな生地を柿渋に浸していました。
繊維素材は柔軟性があり、さまざまな方法で利用できます。生地を織ったり編んだり。革などの素材と使うことで強度が上がるほか、金属製の甲冑内部に詰めることで着心地を快適にすることができます。
染めることもできるので、染められた色が着ている人の階級と社会的地位を表していました。華美なデザインで染料が高価であればあるほど、社会的地位は高くなります。
甲冑の一般的なパーツをいくつか紹介します。
- 兜:公式像としての侍が登場する前から着用されていた。一般的に鉄でできており、内側はクッション入りの生地で裏打ちされています。
- 面頬:顔面とうなじを守るための防具。通常、鉄鋼と革を組み合わせて作られます。兜に取り付けることができます。相手を怖がらせるため、さまざまな形や外観のものがありました。
- 鉢金:額の保護や相手への攻撃をするために額に結び付けられる、金属板部分が付いたスカーフのようなもの。
- 胴:甲冑において最も肝心な防具。防御力が本質的な要素なため、以前はほとんど繊維は使われていませんでした。精巧なデザインが施された装飾品であり、パーツの中でも最も高価です。
- 籠手:上腕から手の甲までを保護するための、鉄板が縫い付けられた防具です。室町時代以降は、柔らかい革や絹が内側に使われていました。
- 袖:肩から腕を守るためのもので、動きやすいよう革製。
- 佩楯:膝を守るための防具で、革や麻、鎖かたびらなどでできていました。太もも前方に付けるものと、小袴のようにはくものがありました。
- 草摺:腰から太腿を守るための鎖かたびらで、胴の下につけられていました。
- 臑当 すねを守る防具で、板状の鉄鋼が縫い付けられています。
これらは標準的でよく知られた構造でしたが、甲冑のスタイルや構成は何世紀にもわたって進化してきました。技術が進歩するたび新技術が適応され、素材も改善されてきたことを忘れてはなりません。例えば、10世紀に歩兵の甲冑は、弓と矢を持った武士に合うよう変更されました。新しい甲冑は機動性や弱点な部分の構造が異なっています。
戦場で改善の必要性から変化しただけでなく、社会的、経済的傾向(裕福な侍の甲冑には、専用のアクセサリーが含まれていました)や外国との交易が反映されています。16世紀には ポルトガル、オランダ、スペインとの交易路が開通い、日本の甲冑は新たに鎖かたびらを取り入れました。
幾度となく進化した甲冑は、社会的地位や発見された場所、作られた時期によって大きく異なっています。変わらない本質は、硬さ(防御力)と柔らかさ(柔軟性)の効果的なバランスです。